記事一覧へ

画像の「ここだけ直して」はAIに通じるかImages 2.5で月面ホテル広告を編集

広告画像の部分修正という見出しと、Images 2.5で編集した月面ホテルの部屋。
地球を窓の右上へ移し、ソファを赤くした部屋です。

OpenAIは2026年9月8日、画像生成AI「ChatGPT Images 2.5」を発表しました。指定した部分を直しながら、それ以外の見た目や以前の修正を保つ能力が改善したといいます。知能圏で架空の月面ホテルの広告を作り、価格、地球の位置、ソファの色を順に変えてみると、三つとも指示どおりに変わりました。ただ、頼んでいない壁や布の模様まで変わっていました。

DALL·Eから続く画像生成と編集の進歩

「価格だけ変えて」「ソファを赤くして」。一枚の画像ができた後にも、直したいところは出てきます。そのたびに気に入っていた構図や文字まで変わると、同じ画像を仕上げるのが難しくなります。OpenAIの画像生成は、こうした修正にどこまで対応してきたのでしょうか。

OpenAIが画像生成AIを外部のアプリから使えるようにしたのは、2022年11月3日のDALL·E API公開ベータです。APIは、プログラムからAIに指示を送り、画像を受け取る窓口に当たります。当時から文章による画像生成と、既存画像の編集に対応していました。2023年11月6日には、DALL·E 3もAPIで提供されました。

その後の大きな節目が、2025年3月25日に発表されたGPT-4oの画像生成です。OpenAIは、画像の中へ文字を描く精度や、会話を重ねて画像を直す能力を特徴として挙げました。同年4月23日には、ChatGPTの画像生成を支えるモデルが gpt-image-1 という名前でAPIにも登場しました。

編集するときに元の見た目を保つ能力も、改良が続きました。2025年12月16日のGPT Image 1.5では、指示した箇所を変更しながら照明、構図、人物の見た目を保つ改善が案内されました。2026年4月21日のChatGPT Images 2.0では、知識や指示への対応に加え、細部や文字が密集した画像の生成が強化されたと説明されています。

こうした発表からは、文章で絵を作るだけでなく、読める文字を入れ、会話で修正を重ね、元の見た目を保つことにも力を注いできたことが分かります。Images 2.5で確かめたいのも、同じ一枚をどこまで直し続けられるかです。

Images 2.5で月面ホテルの広告を作る

OpenAIはImages 2.5の発表で、狙った場所を編集する精度と、複数回の編集で以前の変更を保つ能力の改善を挙げています。たとえば価格を直した後に背景を変えても、訂正した価格がそのまま残る、という使い方が期待できます。

APIには二つのモデルが用意されました。通常の制作向けのFlareと、時間をかけて細かな編集の精度を求めるSunburstです。ChatGPTやCodexでも2.5の展開が始まり、ChatGPTではスケッチや画像へのコメントで修正を伝える操作も案内されています。

知能圏では発表翌日の2026年9月9日、FlareのAPIで架空の月面ホテルの広告を作りました。窓の外には地球、室内にはベッドと青いソファを置き、宿泊料金も入れます。これなら、文字の訂正、物体の移動、色の変更を一枚で試せます。

最初に入れるよう指示した文字は、「今夜、地球を眺めて眠る。」「月面ホテル」「1泊 380,000円」「架空のホテル・制作サンプル」の4行です。出力では4行とも正しく読め、ベッドは左、青いソファは右、地球は窓の中央付近に配置されました。

編集前の月面ホテル広告。窓の中央付近に地球、右に青いソファ、下部に1泊380,000円の表示。
図を拡大
APIが最初に生成した未加工の画像です。架空のホテルで、実在施設の広告ではありません。

価格を直してから地球とソファを変更

最初に頼んだのは、価格の数字だけの変更です。変更箇所を特定し、残したい文字や部屋の要素も明記しました。

入力例text
この広告画像の「1泊 380,000円」を「1泊 298,000円」に変更してください。
変更するのはその価格の数字だけです。文字の位置・書体・大きさ・色は維持してください。
見出し、ホテル名、制作サンプルの注記、部屋、窓、地球、家具、照明、画像の構図とサイズは変更しないでください。

出力された画像は「1泊 298,000円」になり、見出しとホテル名、最下部の注記も残りました。文字の位置と大きさも、目視では元の見た目を保っています。

続いて、その価格変更済みの画像を入力にして、地球を窓の右上へ移動しました。さらに、その出力を渡してソファの張り地を深い赤色へ変更しました。各回で渡したのは直前の画像と、その回の依頼文です。

編集頼んだ変更出力で確認できたこと
1回目380,000円を298,000円へ価格が変わり、見出しと注記が残った
2回目地球を窓の右上へ地球が移動し、298,000円の表示が残った
3回目青いソファを深い赤へ色が変わり、右上の地球と298,000円の表示が残った

最後の画像でも、ベッド、ソファ、テーブルの大きな配置は保たれています。後から地球とソファを変えても、最初に直した価格が元へ戻ることはありませんでした。

3回編集した月面ホテル広告。地球が窓の右上へ移り、ソファが赤くなり、価格は1泊298,000円になっている。
図を拡大
価格変更、地球の移動、ソファの色変更を順に行った未加工の出力です。見出しと注記も残りました。

連続編集後に変わった壁と布の質感

ただし、最後の画像を最初の画像と拡大して比べると、右端の壁にある装飾の模様が変わっています。ベッドに掛かった濃い色の布にも、元画像よりはっきりした別の模様が見えます。窓の外の月面も、細かな起伏の描かれ方が変わりました。いずれも、変更を頼んでいない場所です。

この変化は、一度だけの編集でも起きるのでしょうか。比較のため、最初の画像から地球だけを動かす編集と、ソファだけを赤くする編集も、それぞれ一度試しました。

ソファの色を変える指示は、元画像から一度だけ編集した場合も、連続編集の3回目も同じです。出力を比べると、一度だけ編集した画像の方が、壁と布は元画像の見た目に近くなっています。地球を動かす際は「地球は1個のまま、大きさ・模様・色を維持してください」とも指定しました。地球だけを動かした出力では、位置の変更はできても、雲や大陸の模様に差がありました。

今回比べた範囲では、指示した価格・位置・色は直っても、指定外の見た目がすべて保たれたわけではありません。連続編集は1系列だけなので、編集回数が増えるほど必ず質感が変わるかまでは分かりません。

編集前と3回の連続編集後で、壁、ベッドの布、月面を同じ範囲で比較。編集後は模様や細かな起伏の描かれ方が変わっている。
図を拡大図を拡大
壁、ベッドの布、月面を、それぞれ同じ座標・同じ倍率で切り出しています。左が元画像、右が3回編集後です。スマートフォンでは各箇所を編集前、編集後の順に並べています。

OpenAI APIで同じ編集を試す条件

今回APIで指定したモデル名は gpt-image-2.5-flare です。CodexからAPIを呼び出して画像を生成し、連続編集では直前の出力PNGを、比較用の単独編集では最初の画像を入力しました。ChatGPTの画面上で範囲を選択する操作は使っていません。

設定は全回共通で、画像サイズは1536×1024、品質は medium、出力はPNGの1枚です。編集範囲を限定するマスクは渡さず、文章だけで場所を指定しました。初回生成1回と編集5回は、いずれも再試行なしで出力が返りました。

同じ条件で試す場合は、末尾の参照資料にあるOpenAIの「Image generation」ガイドに沿って、画像編集へ元画像と依頼文を渡します。以下から今回の原画像と依頼文を開けます。連続編集では、毎回、直前の出力を次の入力にしてください。

操作入力する画像依頼文得られた画像
初回生成なし生成の指示元画像
価格変更元画像価格の指示価格変更後
地球の移動価格変更後移動の指示連続編集の2枚目
ソファの色変更連続編集の2枚目色の指示連続編集の3枚目
地球だけの編集元画像上と同じ移動の指示単独の移動結果
ソファだけの編集元画像上と同じ色の指示単独の色変更結果

処理時間は、初回生成が約16秒、編集は1回あたり約18〜40秒でした。これはAPI呼び出しの起動、通信、ファイル保存までを含む今回の経過時間です。請求額は測定していません。旧モデルや別のImages 2.5モデルとの比較も行っていないため、この結果から速度や品質の優劣は決められません。

直したい場所と残したい見た目

月面ホテルのような架空の広告なら、壁の模様が多少変わっても、その絵を気に入れば使えます。一方、実在する部屋や商品の広告では、素材の模様が変わると実物と違うものを見せてしまいます。今回の実験では、実物への忠実さまでは確かめていません。

自分の画像で試すなら、元画像を残し、直したい箇所と保ちたい箇所を一緒に指示してみてください。変更した場所だけに目が向きがちですが、出力を元画像と並べると、壁や布のような小さな変化にも気づけます。

参照資料

参照リンク9件
  1. OpenAIIntroducing ChatGPT Images 2.5
  2. OpenAIDALL·E API now available in public beta
  3. OpenAINew models and developer products announced at DevDay
  4. OpenAIIntroducing 4o Image Generation
  5. OpenAIIntroducing our latest image generation model in the API
  6. OpenAIThe new ChatGPT Images is here
  7. OpenAIIntroducing ChatGPT Images 2.0
  8. OpenAIChatGPT Images 2.0 System Card
  9. OpenAIImage generation

2026年9月9日時点の公式資料を確認しています。仕様は更新される可能性があります。

この記事はここまで059

次の記事

AIにコードの見直しまで任せるなら HydraFusionとAutoの使い分け

関連記事

CodexとClaude Codeで画像のスタイルを揃える 制作規約と生成ツールのつなぎ方

文章を作らないAIをどこまで信じるか Jevが返す確率と型の読み方

LLMの使い分けでコストと待ち時間を下げる 分類と検査を文章生成から切り離す