
問い合わせを担当窓口へ振り分けるような、文章の意味を読んで選ぶ処理に使うAIモデルがJevです。開発元TypeSafeの新規登録停止が告知される一方、公式資料で確認できる他社経由の利用窓口は六つあります。OpenCodeの期間限定無料モデルを含め、認証先、料金、モデル名、最初の呼び出し方を整理しました。認証付き推論の実測は含みません。
問い合わせの振り分けをAIに任せたいときのJev
「同じ商品で二重に請求された」「パスワードを変えたら入れなくなった」。こうした問い合わせを、請求担当と技術担当へ振り分けたい場面があります。単語の一致だけでは言い換えを拾いにくく、人が毎回読むと手間がかかります。文章の意味を読み、あらかじめ決めた選択肢へ分類する部分をAIに任せる方法が考えられます。
TypeSafe AIが開発したJevは、このような判断をソフトウェアへ組み込むためのモデルです。判断材料をstate、質問をquestionsとして渡すと、選択肢、段階評価、はいに当たる確率などを返します。問い合わせへの返信文を作る工程と、誰に渡すかを選ぶ工程を分け、後者に使うと役割が分かりやすくなります。
例えば「請求」「技術」「その他」を選択肢にすれば、アプリは返された分類を使って担当窓口を決められます。判断が曖昧なものは人へ回す設計もできます。文章生成モデルにも構造化出力はありますが、Jevは選択や評価を直接返す用途を中心に設計されています。
ところが、開発元の登録画面で止まると、モデル自体が利用できないように見えます。実際には、開発元のアカウントを持たない人が、別のサービスのアカウントでJevへ送る経路があります。どこに登録し、どの残高を使い、何を送ればよいのか。2026年9月27日に各社の公式資料を調べ、入口と使える範囲を整理しました。
開発元の新規登録と各社の提供状況
TypeSafe AIは公式Xで、2026年9月25日表示の投稿に「新規登録は引き続き停止中」と知らせています。公開ログイン画面にはGoogleやメールの入口がありますが、入口が開くことと新規登録に成功することは別です。既にTypeSafeのAPIキーを持つ人は開発元のPOST /v1/systemoneを使えます。新しく始める人は、別の入口を選ぶ必要があります。
2026年9月27日時点で、開発元以外にJevの提供を公式に確認できた窓口は、Vercel AI Gateway、Cloudflare AI、OpenRouter、DigitalOcean Inference、OpenCode Zen、nexos.ai Gatewayの六つです。いずれも、Jevの重みを自分のサーバーへ置いて動かす方法ではありません。利用するサービスの認証と請求を通して、モデルへ判断を依頼する経路です。
六つの窓口は認証とモデル名が違う
同じJevを呼び出す場合でも、APIキーとモデル名は窓口ごとに変わります。APIは、プログラムからサービスへ処理を依頼する窓口です。最初の試用ならHTTPで手元の端末から送れる経路を選べば、Webアプリを公開せずに始められます。
| 窓口 | 必要なアカウント・残高 | モデル名 | 確認できた呼び出し口 |
|---|---|---|---|
| Vercel AI Gateway | VercelのAI Gatewayキー。月5ドルの無料クレジット対象表示あり | typesafe-ai/jev | POST /v1/evaluate |
| Cloudflare AI | CloudflareのAPIトークンと統合課金クレジット | typesafe/jev | POST /accounts/{id}/ai/run |
| OpenRouter | OpenRouterのAPIキーとクレジット | typesafe/jev-1.13 | POST /api/alpha/decisions |
| DigitalOcean Inference | DigitalOceanのAPIキーと前払い残高 | typesafe-jev-1.13.0 | モデル一覧に掲載。Jev固有の接続先は要確認 |
| OpenCode Zen | OpenCode ZenのAPIキー。期間限定の無料モデルあり | jev-1.13/jev-1.13-free | POST /zen/v1/systemone |
| nexos.ai Gateway | nexos.aiのAPIキーと組織のAIクレジット | jev-latest(公式リクエスト例) | POST /v1/systemone |
DigitalOceanの公式モデル一覧はJevをServerless Inference対象として掲載し、同社の紹介記事はDigitalOceanのキーから使えると説明します。ただし、同じモデル一覧のJev固有欄にはTypeSafeのapi.typesafe.ai/v1/systemoneが書かれています。ここにはDigitalOcean経由での専用URLと必要なリクエスト形式が一意に示されていません。DigitalOceanを使う場合は、ログイン後のModel Catalogまたはサポート資料で接続先を確認してください。本記事では推測したURLのコードを載せません。
nexos.aiは公式のGateway API資料でhttps://api.nexos.ai/v1/systemoneを公開し、model: "jev-latest"を例示しています。ただし、Jev固有の公開単価は今回確認できませんでした。料金は管理画面で確認してから送信するのが確実です。
既存のAPIキーを預かって呼び出しを中継する開発者向けソフトウェアもあります。新たにJevを購入できる窓口とは役割が違うため、六つには数えていません。

無料で試すならOpenCodeの期限を確認する
OpenCode Zenの公式資料は、jev-1.13-freeを期間限定で無料と掲載しています。jev-1.13は通常の有料モデルで、入力100万トークン当たり0.042ドルです。無料モデルは継続提供を約束されたプランではありません。APIキーを作成する画面で、対象モデルがまだ利用できるかを確認します。
OpenCode Zenのキーを環境変数OPENCODE_API_KEYへ設定したら、次の形で返金希望を尋ねられます。noulは、はい・いいえに当たる質問の型で、回答は0から1の数値です。コードは公式のリクエスト形式に合わせていますが、この文面での実推論は本記事では行っていません。
curl --fail-with-body --max-time 30 \
https://opencode.ai/zen/v1/systemone \
-H "Authorization: Bearer $OPENCODE_API_KEY" \
-H 'Content-Type: application/json' \
--data '{
"model": "jev-1.13-free",
"state": "同じ注文で二重に請求されました。重複分を返金してください。",
"questions": {
"refund_requested": {
"type": "noul",
"instructions": "顧客は返金を求めていますか?"
}
}
}'
無料モデルが終了していたら、キーやURLを変えずにモデル名をjev-1.13へ変更するのが、同じ窓口内での有料利用です。送信前に残高と料金を確認してください。
OpenRouterは専用の判断APIを使う
OpenRouterではモデル名がtypesafe/jev-1.13です。最新版へ追随する別名は~typesafe/jev-latestで、先頭の~を含みます。2026年9月27日に取得した認証不要のモデル一覧APIでも、この二つがdecisions型として返りました。OpenRouterの通常のチャットAPIへ送るモデルではありません。
APIキーOPENROUTER_API_KEYと残高を用意した後のHTTP例は次のとおりです。質問の型にはnoulを使います。OpenRouterの公式記事は、この専用APIからの実呼び出しも掲載しています。
curl --fail-with-body --max-time 30 \
https://openrouter.ai/api/alpha/decisions \
-H "Authorization: Bearer $OPENROUTER_API_KEY" \
-H 'Content-Type: application/json' \
--data '{
"model": "typesafe/jev-1.13",
"state": "同じ注文で二重に請求されました。重複分を返金してください。",
"questions": {
"refund_requested": {
"type": "noul",
"instructions": "顧客は返金を求めていますか?"
}
}
}'
OpenRouterのJevは入力100万トークン0.042ドル、出力0ドルです。標準プランにはクレジット購入時の5.5%の手数料があります。モデルの掲載単価と、購入時に払う総額は分けて比較します。
VercelとCloudflareから呼ぶときの違い
VercelのダッシュボードでAI GatewayのAPIキーを作成し、AI_GATEWAY_API_KEYへ設定します。Vercelの評価用HTTP APIではモデルをtypesafe-ai/jevと書き、質問の型はbooleanです。
curl --fail-with-body --max-time 30 \
https://ai-gateway.vercel.sh/v1/evaluate \
-H "Authorization: Bearer $AI_GATEWAY_API_KEY" \
-H 'Content-Type: application/json' \
--data '{
"model": "typesafe-ai/jev",
"state": "同じ注文で二重に請求されました。重複分を返金してください。",
"questions": {
"refund_requested": {
"type": "boolean",
"instructions": "顧客は返金を求めていますか?"
}
}
}'
booleanと指定しても、返るprobabilityは0から1の数値です。JavaScriptの真偽値を想定して処理を進めないようにします。TypeSafeのSDKを使う既存のアプリなら、VercelのTypeSafe互換APIで、はい・いいえ用のnoul形式を維持する方法もあります。
Cloudflareを選ぶ場合は、Account IDとAccount > Workers AI > Read権限を持つAPIトークンを用意し、第三者モデル用の統合課金クレジットを入れます。AI Gatewayの権限しかないトークンでは、このAI用HTTP APIの認証に通りません。
curl --fail-with-body --max-time 30 \
"https://api.cloudflare.com/client/v4/accounts/$CLOUDFLARE_ACCOUNT_ID/ai/run" \
-H "Authorization: Bearer $CLOUDFLARE_API_TOKEN" \
-H 'Content-Type: application/json' \
--data '{
"model": "typesafe/jev",
"input": {
"state": "同じ注文で二重に請求されました。重複分を返金してください。",
"questions": {
"refund_requested": {
"type": "noul",
"instructions": "顧客は返金を求めていますか?"
}
}
}
}'
Cloudflareはモデル名に-aiが入らず、stateとquestionsをinputへ入れます。公式の応答例では、回答のnoulフィールドに数値が返ります。Workers内からはenv.AI.run('typesafe/jev', { state, questions })も使えます。Cloudflareのモデル分類は「第三者」であり、自社のWorker内にJevの重みを配置するという意味ではありません。
DigitalOceanとnexos.aiで確かめること
DigitalOceanは2026年9月23日の更新でJevのServerless Inference提供を告知しました。モデル一覧のIDはtypesafe-jev-1.13.0、料金表は入力100万トークン0.042ドル、出力への課金なしです。利用には前払い残高が必要です。VercelのJev画面にもDigitalOceanが提供者の一つとして表示されていますが、Vercelのキーで呼ぶ場合とDigitalOceanのキーで直接呼ぶ場合は請求先が変わります。
nexos.aiのAPI資料では、Gatewayのキーを使い、api.nexos.ai/v1/systemoneへmodel、state、questionsを送ります。公式の例はjev-latestで、残高不足にはHTTP 402が示されています。モデルへのアクセス権とJevの単価は、利用する組織の設定と請求画面で確かめる必要があります。両社の公開資料だけでは、自分のアカウントで現在使えるかは判断できません。
同じ掲載単価でも支払う条件は異なる
2026年9月27日確認時、Vercel、Cloudflare、OpenRouter、DigitalOcean、OpenCode Zenの通常モデルはいずれも入力100万トークン当たり0.042ドル、出力0ドルを掲載しています。Vercelのモデル画面では0.04ドルへ丸めて表示されますが、公開モデル一覧APIでは1トークン0.000000042ドルです。nexos.aiのJev固有の公開単価は確認できていません。
| 窓口 | 推論の掲載単価 | 利用開始・追加費用の条件 |
|---|---|---|
| Vercel | 入力0.042ドル/100万トークン | 月5ドルの無料クレジット。Jevは確認時に対象表示。対象モデル・回数制限に従う |
| Cloudflare | 入力0.042ドル/100万トークン | 統合課金のクレジット購入時に5%の手数料 |
| OpenRouter | 入力0.042ドル/100万トークン | 標準プランはクレジット購入時に5.5%の手数料 |
| DigitalOcean | 入力0.042ドル/100万トークン | Serverless Inferenceは前払い残高が必要 |
| OpenCode Zen | 有料版の入力0.042ドル/100万トークン | jev-1.13-freeは期間限定。クレジット購入には決済手数料の記載あり |
| nexos.ai | Jev固有の公開単価を確認できず | 組織のAIクレジット残高と請求設定を確認 |
例えば1回の入力が、質問と判定基準を含めて1,000トークンなら、1万回で入力は1,000万トークン、推論分は0.42ドルです。これは共通の掲載単価からの計算で、実測料金ではありません。日本語のトークン数は文字数から決まらず、クレジット購入手数料やアプリの実行費も別に考えます。
最初は問い合わせの分類から試す
接続できた後に確かめたいのは、自分の仕事の文章で正しく判定できるかです。TypeSafeはJev 1.13の弱点として、数の計算、日時の比較、複雑な否定、無関係な情報が多い入力などを公開しています。形式どおりに値が返ることと、判断が正しいことは別の確認項目です。
返金の例なら、「返金を求めているか」は文章の意味を読む問いです。一方、「購入から30日以内か」は日付を計算する処理、「この担当者に返金権限があるか」は権限を確認する処理です。後者はアプリのコードや業務ルールで確定させます。AIが返金希望を検出しただけで送金まで実行する設計にはしません。
試す際は、匿名化した実際の問い合わせに人が正解を付け、普通の文面と判断しにくい文面を分けて比べます。「返金してください」「返金は不要です」「返金できますか?」や、複数の用件がある文章も含めます。日本語で使う予定なら、日本語のデータで確かめる必要があります。
モデルが返す確率やconfidenceは、自社の問い合わせで同じ割合の正答が保証される数値ではありません。自分のデータで誤分類を調べ、どの範囲なら自動で振り分け、どの範囲を人へ回すかを決めます。APIエラーや時間切れも、人へ回す条件に含めます。
最初の試用にはOpenCodeの無料モデルが候補です。既にVercel、Cloudflare、DigitalOcean、nexos.aiのいずれかへ費用と認証をまとめているなら、その窓口でJevを呼ぶ方が管理しやすい場合もあります。モデル名と残高を確かめたら、問い合わせ分類を一つ選び、誤りと人へ戻す割合を測るところから始めます。
参照リンク21件
- TypeSafe AIJevの入力と判断の種類
- TypeSafe AI新規登録の停止に関する公式投稿(2026年9月25日表示)
- VercelJevの料金と提供経路
- Vercel公開モデル一覧API(2026年9月27日取得)
- VercelAI Gatewayのクレジットと料金
- VercelAI GatewayのAPIキー
- Vercel評価用APIの入力と応答
- VercelTypeSafe互換API
- CloudflareJevのモデル仕様と呼び出し例
- CloudflareAI用REST APIの認証と課金条件
- CloudflareUnified Billingの購入手数料
- TypeSafe AIJev 1.13の既知の弱点
- TypeSafe AI確率とconfidenceの扱い方
- OpenRouterJev 1.13のモデル・価格・専用API
- OpenRouter標準プランのクレジット購入手数料
- OpenRouterDecisions APIでJevを呼ぶ方法
- DigitalOceanJevのモデル一覧とServerless Inference対象
- DigitalOceanJevの料金と前払い条件
- DigitalOceanDigitalOceanアカウントからのJev利用
- OpenCodeOpenCode ZenのJevモデル、API、料金、期間限定無料枠
- nexos.aiGateway APIのSystem One/Jevリクエスト仕様
2026年9月27日時点の公式資料を確認しています。仕様は更新される可能性があります。



